サウサンプトン大学留学 2022年度卒業 寺下 宗孝
工学域機械系学類海洋システム工学課程4年の寺下宗孝です.今回,中長期海外留学奨励制度に採択され,サウサンプトン大学のMaritimeCourseの研究室に留学させていただきましたので,ここで報告させていただきます.
━━━留学の経緯
今回の留学は,所属研究室の二瓶先生に,留学してみないか?と提案していただいたことがきっかけです.私自身,海外で研究することや,生活することに憧れがあったため,すぐに行きますと返答しました.私のような研究留学の場合,プログラム化されていないため,受け入れ先の選定などを自分自身で進める必要があります.しかし,受け入れ先の選定は二瓶先生に行っていただいたため,留学に行く際のハードルは低かったです.一方で,現地での滞在方法やVisaの有無などを検討する必要がありました.特に,Visaの有無に関しては,両国政府のHPなどで曖昧な表現で書かれており,必要かどうか判断することが難しかったです.最終的には,Visaを持たず,受け入れ先の先生に招待状を書いていただき,入国時にそれを持参しました.
━━━滞在場所の選定
滞在場所は,Flatというシェアハウスでした.イギリスでは,シェアハウスも一般的であり,SpareRoomというサイトから家賃,光熱費,食器や調理器具が使えるか等を照らし合わせ,Flatの大家さんに私の期間で滞在可能が聞いていきました(大体返信が来ないか,急に連絡できなくなりますが臆せず聞いていきましょう!).私が検討していたあるFlatでは,寝具は持参という形であり,こういった点もあらかじめ聞いていたほうがいいかもしれません.私が滞在したFlatは,家賃・光熱費込み,また,キッチンの調理器具は自由に使っていいということでした.そして,Flatに着いてから,驚いたことに,キッチンにあるパンやフルーツも食べてもらっていいよと言ってくださり,また,晩御飯は毎回ご一緒させていただき,とても親切でありがたかったです.
━━━研究生活
留学先の研究室は,日本で所属しているものと大きく異なりました.まず,修士の学生までは,自分のデスクというものがありません.各自が研究場所を見つけて,取り組むという形です.博士の学生からは自分のデスクがあり,より研究に集中する環境が整ています.そして,毎週各学生とSupervisorとでミーティングをします.私の場合は,私のデスクを用意してくださり,また,博士の学生と教員らが行う不定期の進捗報告会にも参加させていただきました.そこで,私の研究も発表することができました.
留学した研究室では,‘Autonomous Underwater Vehicle(以降,AUV)’を用いて撮影した海底の動画から,それぞれの画像に何が映っていたかを機械学習を用いて効率的に分類する手法が確立されていました.この手法は,AUVの画像取得位置(深度や緯度経度)も参考に機械学習するため,高精度な分類器を作成することができます.この手法を,私の研究であるASV(水上ロボット)にも適用できるように,研究に取り組みました.
私が所属した研究グループは,毎週コービーブレイクというのもがあり,そこでは他愛ない会話や研究の進捗について話し,金曜日の夜は教員,博士の学生が揃って,Pubに行っており,とてもアクティブでした.その回に私も呼んでいただき,場違いなのは重々承知のうえで貴重な経験をさせていただきました.このように,研究とリラックスタイムをメリハリをつけて過ごしていることが印象的でした.また,イギリスにある大学ですが,とても多様な国の方が在籍していました.私が出会った方は,中国,韓国,トルコ,インドネシア,フランス,スペイン,スイス,パキスタン,インド出身であり,多様性というものを肌で感じることができました.また,昼食は皆そろって食堂に行き,英語で会話をする練習を兼ねておすすめの観光地を聞き,ときにはそれぞれの国が抱えてる問題など深い話もすることができました.
そして,何より!?運よく,MaritimeCourseに来られている日本人研究者に出会うことができました.ある方は防衛装備庁から留学されており,ある方は日本の大学で研究員をしている方です.海外で研究者として働く本当の姿を見ることができました.また,Pubや後述する観光地(ポーツマス)にも連れていてくださり,とても貴重な経験をさせていただきました.
━━━現地での生活
・町の雰囲気
サウサンプトンは,タイタニック号が最後に出航した港町です.国外のフェリーも就航していますが,田舎すぎず都会すぎない住みやすい街でした.特に私は大学の近くに住んだので,治安もよく,スーパーや飲食店も多かったです.
・イギリス料理
イギリス料理はあまり美味しくないとよく言われていますね.結論から言うとまったくそんなことなかったです.味自体は素朴ですが,各テーブルに置いている調味料をかけて自分好みの味に変えることができます.一方で,調味料に重きをおいているせいか,スーパーでは同じ味でも“本当に”さまざまな種類がありました.最初は困惑していましたが,トマトソースとつくものを買っておけば間違いないと思います.
・週末の過ごし方
週末は完全に休みだったので(受け入れ先の先生がせっかくなのでたくさん観光してくださいと言っていただきました),市内に散歩に行ったり,現地の方と交流するイベントなどに参加しました.時には,バスや電車に乗ってオックスフォードやポーツマスなどに行き,一日中観光しました.特にポーツマスはイギリス海軍の本部が置かれているそうで,イギリスの空母を運よく,そして,快晴の日に見ることができました.
━━━これから留学を考えている人へ
“とりあえず行ってみる.”というスタンスでいいのではないかと思います.不安になることもあると思いますが,困っていれば,私は今困っています!と周りにSOSを出せば結構対応してもらえます.留学はSOSを出す練習にもってこいです.一方で,最低限のSOSを出すために,英語を使う練習をすることは大切だと思います.特に,聞き返されても怖気ないメンタルが重要です.私は,英語が苦手だったため,留学前に本学主催のVLT等に参加していました.そのおかげもあってコミュニケーションを取ることはできました.しかし,研究の話や大人数での会話になると途端にわからなくなります.留学前に,英語論文などを読んで勉強しておくべきだったと痛感しました.
━━━最後に
“今回の留学をしたからこんな結果が得られました.”と,すぐに見せることは難しいですが,今後の人生で大きな指針となったことは確かです.ぜひ機会があれば,とりあえず行ってみてください!!私の留学が少しでも参考になれば幸いです.そして,この留学を支えてくださった方々に感謝申し上げます.